日立造船、スイス初のバイオメタネーションを用いた 産業用 Power to Gas プラントを建設

日立造船、スイス初のバイオメタネーションを用いた 産業用 Power to Gas プラントを建設

日立造船は、ごみ焼却発電およびバイオガスプラントの設計、建設、保守などを手がける同社の 100%子会社 Hitachi Zosen Inova AG(スイス)の子会社で、バイオガス事業を展開する Hitachi Zosen Inova Schmack GmbH(ドイツ、HZI Schmack)が、スイスの電力会社 RegiowerkLimeco 社(以下、Limeco)のチューリッヒの施設内に、生物反応でメタンを生成する バイオメタネーションの産業用 Power to Gas (PtG)プラントを完成させたと発表しました。

スイスで初のバイオメタネーション事業となる同プロジェクトは、Limeco がスイス国内のエネルギー供給会社 8 社、自治体と電力会社で構成される公益事業同盟の Swiss Power と共に進めてきたもので、HZI Schmack はプラントの建設およびバイオメタネーションの技術供与を行いました。

スイス政府は、脱原子力、脱化石燃料などを盛り込んだ長期エネルギー計画「エネルギー戦略2050」を策定し、原子力発電を太陽光発電や水力発電、風力発電などの再生可能エネルギーに転換する方針を公表しています。その一方で、再生可能エネルギーの発電量は、季節や時間により大きく変動するため、余剰電力をガスに変換し、貯蔵・輸送を可能にする PtG 技術の商業レベルでの実用化と本格的な活用に期待が寄せられています。

今回新設した PtG プラントでは、Limeco が所有するごみ処理施設で発電された電力を使って水を電気分解し、水素を生成します。その後、水素と既設の廃水処理施設から排出される下水ガスをバイオリアクターに供給します。このバイオリアクター内にいる微生物の生物反応によって、嫌気条件下で水素と下水ガスに含まれる CO2 がメタンに変換され、精製されたメタンは、地域のガス供給網へ供給されます。この取り組みにより約 2,000 世帯分に相当する CO2 排出量を削減することが可能です。

日立造船グループは、今後もクリーンエネルギー技術を通じて、国連サミットで採択された SDGs(持続可能な開発目標)の達成や循環型社会の実現に取り組んでいきます。

■本 Power to Gas プラントの概要
メタン製造量: 18,000 MWh/年
建設予定地 : スイス チューリッヒ (Regiowerk Limeco 社の施設内)

■Hitachi Zosen Inova Schmack について
株主  : Hitachi Zosen Inova 100%(日立造船株式会社 間接 100%)
事業内容: 湿式メタン発酵技術のバイオガス事業
所在地 : ドイツ バイエルン州 Schwandorf

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