商船三井など、第三者認証取得済 発電燃料用低炭素アンモニアの日本向け初輸送を実施

商船三井など、第三者認証取得済 発電燃料用低炭素アンモニアの日本向け初輸送を実施

2023 年 4 月 21 日、東京 – 第三者認証機関からの認証を受けた低炭素アンモニアが、発電用燃 料目的でサウジアラビアから日本へ輸送されました。これは、アンモニアという低炭素エネル ギーの利活用が進んでいる中での一つの画期的な出来事と言えます。

今回の低炭素アンモニアの輸送は、バリューチェーン全体を通して多くの関係者間協力のもと 行われました。本アンモニアは、SABIC(サウジ基礎産業公社)アグリ・ニュートリエンツ・カ ンパニー(以下、SABIC AN)がサウジアラビアン・オイル・カンパニー(以下、アラムコ)の 原料ガスより製造し、アラムコ・トレーディング・カンパニー(以下、アラムコ・トレーディ ング)が富士石油株式会社(以下、富士石油)に販売したものです。

株式会社商船三井(以 下、商船三井)によってサウジアラビアから日本まで輸送され、富士石油の袖ケ浦製油所に搬 入の後、発電の混焼用として使用されます。また本件では、日本オイルエンジニアリング株式 会社が技術支援を行っています。

本アンモニアは、製造過程で発生する CO₂が分離・回収、後工程で活用され、温室効果ガスの 排出を実質的に抑制できることから、低炭素に分類されます。

日本の経済産業省は、2050 年のカーボンニュートラル社会の実現に向けて、アンモニアを発電 用および舶用燃料として順次段階的に活用する計画を発表しています。今回の取組みは、アン モニアのグローバル・サプライチェーン構築のための一歩となります。

アラムコのケミカル担当シニア・バイス・プレジデントであるオリビエ・トレルは、次のよう に述べています。
「本件は、アラムコの原料から作られる低炭素水素とアンモニアが、低炭素 社会の未来において、重要な役割を果たす可能性を示す出来事です。低炭素アンモニアは、低 炭素な水素を輸送する手段であるだけでなく、それ自体が重要なエネルギー源であり、電力会 社や産業界の発電を含む主要セクターの脱炭素化に貢献し得るものです。この認証済低炭素ア ンモニアの日本への出荷により、この製品にとって新たな開発の道筋をつけるものとなるでし ょう」

SABIC AN の CEO である Abdulrahman Shamsaddin は、次のように述べています。
「当社の目標 は、今回の大切な経験を活かして、カーボンニュートラルへの積極的な貢献を成長・拡大させ ることです。SABIC AN は、2050 年までにカーボンニュートラルを目指すだけでなく、お客様と 協力してネットゼロエミッションの目標達成支援を公約に掲げています。エネルギー、肥料、 化学分野のお客様は、低炭素の水素とアンモニアの供給者を求めています。バリューチェーン 全体で長年培ってきた当社の強みを生かすことで、その需要にお応えできると考えておりま す」

富士石油の代表取締役社長である山本重人は、次のように述べています。
「日本における 2050 年カーボンニュートラルの実現を目指す中で、低炭素アンモニアは CO₂排出量削減に寄与する 次世代燃料として期待されています。当社においては、自社事業で排出される CO₂排出量の削 減を図るべく、袖ケ浦製油所のボイラーにて石油精製の過程で副生されるアンモニアの混焼実 験に取り組んでおり、今回、パートナー各社の協力を得て輸入した低炭素アンモニアについて も、同ボイラーにて混焼します。当社は、アンモニアサプライチェーンの構築に貢献するべ く、今後ともこうした取組を継続してまいります」

アラムコ・トレーディング CEO である Mohammed Al-Mulhim は次のように述べています。
「この 画期的な成果は、アラムコ、SABIC、アラムコ・トレーディング、そして日本のパートナー企業 における企業間の優れた連携の例であり、まさに当社のサステナビリティへの取り組みにとっ て大きな後押しとなります」

商船三井の代表取締役副社長執行役員である田中利明は、次のように述べています。
「アンモ ニアは次世代燃料として今後大規模な需要が見込まれています。日本が 2050 年カーボンニュー トラル社会の実現を目指す中で、今回サウジアラビアから日本への第三者認証済低炭素アンモ ニア輸送に携われたことを大変嬉しく思います。当社はこれまでの知見を結集させ、お客様の ニーズに合わせた多様な輸送モードによる安全で高品質な輸送サービスの実績を確実に積み上 げていくとともに、広範なバリューチェーンに積極的に参画することで、脱炭素社会の実現に 貢献します」


アラムコについて
アラムコは、世界的な総合エネルギー・化学企業です。私たちは、「エネルギーが拓く世界」という基 本的な信念を原動力としています。世界の原油の約 8 バレル毎の 1 バレルの量の生産から、新しいエネ ルギー技術の開発まで、当社のグローバルチームは、すべての行動において影響力を生み出すことに専 念しています。私たちは、資源をより安定的に、より持続可能で、より有用なものにすることに重点を 置いています。これは、世界中の安定と長期的な成長を促進することにつながります。
https://www.aramco.com

SABIC AN について
SABIC AN は、サウジアラビア取引所(Tadawul)に上場している株式会社で、SABIC が 50.1%を保有し、 残りの 49.9%は民間企業とサウジ取引所の投資家が保有しています。世界有数の肥料メーカーで、扱う 製品には、尿素、アンモニア、リン酸塩、その他の特殊製品が含まれています。
https://www.sabic-agrinutrients.com/en

富士石油について
富士石油は、原油の精製や石油製品の販売を行うエネルギー企業です。当社は、「エネルギーの安定供 給」を企業理念の一つとして掲げ、中東を中心とした世界各国から原油を輸入し、さまざまな石油製品 を生産、国内外へ安定的に出荷することで、くらしと産業を支えるエネルギー供給の重要な役割を担っ ております。
https://www.foc.co.jp

商船三井について
商船三井は日本に本社を置き、世界中で約 800 隻の船舶を運航する世界有数の海運会社です。商船三井 は、環境保全など刻々と変化する社会のニーズに応えるため、海運を中心にさまざまな社会インフラ事 業や技術・サービスを展開しています。商船三井の船隊には、ドライバルク船、LNG 船、自動車船、タン カーなどが含まれます。また従来の海運事業に加えて、不動産、ターミナルおよび物流、洋上風力発電 などの社会インフラ事業と共に、不動産、クルーズ、フェリーなどのウェルビーイングライフ事業も展 開しています。
https://www.mol.co.jp


株式会社商船三井のホームページへ



【 過去記事 】 水素/アンモニアの製造調達

【 最新記事 】 水素/アンモニアの製造調達