【 三菱重工業 】 大面積熱負荷試験装置
三菱重工業は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研)六ヶ所研究所(青森県上北郡六ヶ所村)に、核融合炉を構成する重要機器であるブランケットの安全性を確認・実証するための試験装置群を納入したと発表しました。同研究所で開発中のブランケットは、南フランスで建設中の核融合実験炉イーター(以下、ITER)(注1)で計画されている世界初の炉内実環境試験(ITER-TBM計画)において、日本のブランケット試験体(TBM:Test Blanket Module)として使用される予定です。三菱重工は引き続きITER-TBM計画向けブランケット試験体の供給を目指し、核融合ブランケットの開発に取り組んでいきます。
今回納入した試験装置群は、「大面積高熱負荷試験装置」「高温高圧水噴出・漏洩実験装置」「ベリリウム‐水蒸気反応性データ評価装置」「高温高圧腐食試験ループ」の4つの装置から構成され、ITER-TBM計画向けブランケットの開発、安全性確認などを目的とした各種試験で使用されます。ブランケットは核融合炉の内壁を構成する装置の一つで、核融合炉から発生する熱の取出しと、燃料である三重水素の生産・自己充足(注2)を行うために必要となる機器です。
ITER-TBM計画とは、核融合エネルギーの実現に向けた科学的・技術的な実証を目的とした大型国際プロジェクトであるITERにおいて、参加7極である日本・欧州・米国・ロシア・韓国・中国・インドのうち4ヵ国が、独自開発したTBMによる機能実証試験を実施するというものです。ここで得られた実証結果が、将来の商用炉に向けたブランケット方式の優劣に影響することから、TBMの性能・安全性などについて各国が積極的な開発を進めています。日本においては、量研がITER計画の国内機関としてブランケット開発を先導しています。
三菱重工は、ITER向け主要機器であるトロイダル磁場コイル(TFコイル)について、全19基中5基の製作を受注し、うち4基を出荷済みであるほか、ITER向けダイバータの構成要素の一つである外側垂直ターゲット6基についても受注、現在製作を進めています。今後も、世界の持続的発展のため非常に重要な技術開発に取り組むITER計画をより積極的に支援し、核融合エネルギーの実現に向けた貢献を続けていきます。
高温高圧水噴出・漏洩実験装置
ベリリウム-水蒸気反応性データ評価装置
高温高圧腐食試験ループ
(注1)核融合は太陽が輝き続けられるエネルギー源であり、地上での核融合の実現を目指して、重水素や三重水素などの軽い原子核がプラズマ状態で融合し、ヘリウムなどのより重い原子核になる核融合反応を利用します。燃料となる重水素、三重水素の原料であるリチウム資源は海水中に無尽蔵にあり、核融合エネルギーはCO2を発生しません。そのため、エネルギーおよび環境問題を根本的に解決すると期待されています。
(注2)核融合反応の燃料である重水素と三重水素のうち、反応の過程で消費(減少)した三重水素について、ブランケットにおいてリチウム化合物に中性子を照射することで消費された分を生成し補う(自己充足する)ことを意味します。

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