IHI、持続可能な航空燃料SAFの合成技術に関して共同研究を開始

IHI、持続可能な航空燃料SAFの合成技術に関して共同研究を開始

IHIは、シンガポール科学技術研究庁(A*STAR:Agency for Science, Technology And Research)傘下の研究機関であるISCE²(*1):Institute of Sustainability for Chemicals、Energy and Environmentと、持続可能な航空燃料Sustainable Aviation Fuel: SAF(*2)の合成技術にかかる共同研究を開始したと発表しました。

今回の共同研究では、IHIと ISCE²が保有する触媒技術を活用して、CO₂と水素からSAF の原料となる液体炭化水素を効率良く合成できる技術の開発を行います。

SAF製造の要素技術となる触媒の開発をISCE²との共同研究で加速し、触媒開発とともに重要な反応器やプロセス開発は、IHIが主として行います。今後、3年間で触媒の要素開発を終了し、できるだけ早期に商用化を目指していく計画です。

IHIはISCE²の前身であるICESとメタネーション(*3) 触媒の共同研究・開発に取り組んできました。この関係を継続して、現在はCO₂を原料とした低級オレフィン合成技術(*4)の共同研究を進めています。

またIHIはSAFの一種である微細藻類由来のジェット燃料の開発も行っており、2020年5月に同燃料での航空用代替ジェット燃料に関する国際規格認証を取得、2021年には国内定期便への供給、デモフライトを成功させ、2022年3月には国産SAFに関する有志団体ACT FOR SKYに加盟するなど、航空分野のカーボンニュートラル達成に向け精力的に活動してきました。

今回、ISCE²とのSAF合成触媒の共同研究プロジェクトを立ち上げることで、IHIが取り組むCO₂有価物転換の技術開発を一層加速させていきます。

ISCE²とは2022年から、同様の目的でジョイントセンターを設立したところですが、CO₂を原料としたSAFの普及・拡大をリードすべく同センターを活用して、世界の潜在パートナーと協働していく計画です。

IHIは、CO₂の有価物転換技術の開発を通じて持続可能な社会への移行に貢献していきます。

(*1) 化学・エネルギー・環境サステナビリティ研究所(ISCE2):
A*STARがシンガポールの持続可能性の目標をサポートするために設立した新しい研究所。最新のデジタル化および自動化ツールも活用し、低炭素技術,カーボンライフサイクルアセスメント、持続可能な材料、グリーン製造プロセスなどの分野で研究開発を進める。
所在地: 1 Pesek Road, Jurong Island, Singapore 627833

(*2) Sustainable Aviation Fuel: SAF:
持続可能な航空燃料。原料の生産・収集から、製造,燃焼までのライフサイクルでCO₂排出量を従来燃料より大幅に削減し、既存のインフラをそのまま活用できる航空燃料として世界的に普及推進が活発になってきている。

(*3) メタネーション
二酸化炭素と水素を触媒で反応させることで、都市ガスなどの主成分であるメタンを得る技術。

(*4) 低級オレフィン合成技術
二酸化炭素と水素を触媒で反応させることで、化学品の原料となる低級オレフィンを得る技術。低級オレフィンとしてカーボン数2-4のものを指しており、例えばC2 : エチレン、C3 : プロピレンがある。

IHIのホームページへ



【過去記事】モビリティ|空中・宇宙


【最新記事】モビリティ|空中・宇宙