IHI、インドネシア国立バンドン工科大学とバイオマス燃料に関する共同研究を開始

インドネシア

IHIは、インドネシア国立バンドン工科大学と共同で、環境負荷をもたらす農業残さ(廃棄物)をバイオマス燃料として有効活用し、CO₂排出量の削減を目指す研究を開始したと発表しました。

小規模農家が多数を占めるインドネシアでは、稲わらなどの農業「残さ」において、飼料等で使われなかった一部余剰分が野焼きされているほか、放置による腐敗が原因で、温室効果ガスが大気中に放出されていることもあり、適切な利活用が課題として挙げられてきました。他方、同国政府が掲げる2060年までのカーボンニュートラル達成のため、国内発電所能力の約50%を占める石炭火力発電所でのバイオマス混焼化に向け、関係省庁とインドネシア国営電力会社PLNらによって、1%~5%の低い混焼率での実証試験が行われているなど、さらなる高混焼化・専燃化が期待されています。

そこで、IHIとバンドン工科大学は、現在廃棄されている農業「残さ」をバイオマス燃料として有効活用することで、カーボンニュートラルの実現のみならず、農業残さ起因による環境負荷の低減、発電所への安定供給、農業残さの有価物化による農家の収入源拡大を目指し、インドネシアの総発電量の約70%を占めるジャワ島を対象に、農業残さ分布に対する既存の火力発電所の立地調査や輸送方法の検証などを行います。また、IHIが日本国内でバイオマス混焼・専焼の発電所を手掛けてきた経験を活かし、混焼実験やバイオマスの高混焼率化・専焼化に向けた技術的検討も行い、農業残さの調達から燃料利用までのバリューチェーン全体にわたって、技術・事業の両面から検討を進めていきます。

バンドン工科大学は、インドネシアを代表する理工系国立大学で、同国の政財界に多くの人材を輩出しており、インドネシアのエネルギー政策策定にも関与しています。IHIと同大学は、2013年から、褐炭の有効活用やインドネシア全体の農業残さ分布,成分分析などに関する調査を行うなど協力関係にあります。

IHIは、同研究のテーマに、農業残さの有効活用という点を取り入れることで、インドネシアにおける発電プロセスのカーボンニュートラル化のみならず、農業分野での環境負荷の低減につなげるとともに、同国の石炭火力発電所でのバイオマス高混焼率化・専焼化に寄与し、同国のカーボンニュートラル達成および持続可能な社会への移行に貢献していきます。

参考画像
参考画像

IHIのホームページへ



【 過去記事 】 燃料製造・調達(その他)


【 最新記事 】 燃料製造・調達(その他)