世界初、バッテリーハイブリッドLNG燃料自動車専用船が竣工

バッテリーハイブリッドLNG燃料自動車専用船

日本郵船は、United European Car Carriers(UECC)が中国の江南造船(集団)有限責任公司(Jiangnan Shipyard(Group)Co.,Ltd.)から LNG(液化天然ガス)燃料自動車専用船の引き渡しを受けたと発表しました。UECCは、日本郵船とWallenius Lines(ワレニウス・ラインズ)が50%ずつ出資する欧州域内完成車輸送事業会社です。今後、同船は「AUTO ADVANCE」(オート・アドバンス)と命名され欧州域内の完成車輸送に従事します。

同船はLNGと重油を燃料とする二元燃料エンジンを搭載し、「AUTO ECO」、「AUTO ENERGY」に次ぐUECCとして3隻目のLNG燃料自動車専用船となります。また、同船はバッテリーハイブリッドシステムをLNG燃料自動車専用船としては世界で初めて採用しており、従来よりも効率的な主機関・発電機関の運転によって更なる燃費改善を図っています。

バッテリーハイブリットシステムは、主機により駆動する軸発電機とバッテリーを組み合わせて用いることで、効率良く船内電力を供給し環境負荷を低減させます。また、発電機不具合の際にはバッテリーから船内に給電することで電源喪失を回避し、安全な運航に寄与します。LNG燃料化とバッテリーハイブリッドシステムの搭載により、従来の重油焚き船に比べ、硫黄酸化物(SOx)については約90%、窒素酸化物(NOx)については約85%、二酸化炭素(CO2)については約25%の排出削減を見込めます。また、これにより本船はIMO(国際海事機関)のNOx 3次規制(注1)をクリアしています。

<本船概要>
全長:169.10メートル
全幅:28.00メートル
総トン数:35,667トン
最大積載自動車台数:3,661台
建造造船所:江南造船(集団)有限責任公司
船籍:マデイラ諸島

(注1) IMOのNOx 3次規制
船舶からのNOx排出については、船舶からの海洋汚染等を防止する国際条約である海洋汚染防止条約(MARPOL条約)附属書Ⅵ(大気汚染防止)において規定されています。同附属書の規定により、北海やバルト海の大気汚染物質放出規制海域(ECA:Emission Control Area)では、2021年以降の建造船に搭載するディーゼルエンジンは、NOx1次規制値より80%以上NOx排出量を低減することが要求されます。

(注2)「Sail GREEN」プロジェクト
従来の重油焚き船と比較しCO2排出量の少ないLNG燃料自動車専用船の投入を中心に、世界各地で展開する完成車ターミナルや、陸上輸送も含めた全輸送期間でCO2排出量低減を図り、お客様のサプライチェーンに還元していく、当社自動車輸送本部のプロジェクト名称。


バッテリーハイブリッドLNG燃料自動車専用船
環境バリューチェーンのモデル例
(横浜からベルギー経由ノルウェーまでの輸送)

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