旭化成、水素製造用アルカリ水電解パイロット試験設備を着工

旭化成、水素製造用アルカリ水電解パイロット試験設備を着工

旭化成株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:工藤 幸四郎)は、同社川崎製造所(神奈川県川崎市川崎区夜光1-3-1)において水素製造用のアルカリ水電解パイロット試験設備を着工したことを発表しました。

同設備は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業※1 の助成を受けて建設・運用するものです。同設備の導入背景、目的と特徴は以下の通りです。

導入背景
水素関連事業は、同社の「中期経営計画2024 ~Be a Trailblazer~」において、次の成長を牽引する10のGrowth Gears(GG10)にも挙げられている注力領域です。現在、同社は食塩電解領域における実績・知見を活用し、水素製造用のアルカリ水電解システムを中心とした水素に関する事業の開発を推進しています。
同社は、NEDO委託事業※2 の一環として、福島水素エネルギー研究フィールド(FH2R)に10MW級大型アルカリ水電解装置を設置し、2020年より各種試験を実施してきました※3。さらに、FH2Rで培った技術成果をベースとし、複数の10MWモジュール※4 からなる大型アルカリ水電解装置を2025年までに上市する予定です。

同設備の目的
同社は、世の中で期待される大きな水素需要に応えるため、さらなる設備の大型化が必要と考えています。加えて、変動する再生可能エネルギー由来の電力活用へも対応できる信頼性の高い製品の技術開発が課題と認識しています。
上記課題を解決するために、複数の電解槽モジュールで構成され、変動応答性や長期耐久性といった多様な実証試験が可能なパイロット試験設備の導入を決定しました。同設備導入により、同社の水電解技術開発を大きく加速することが期待できます。

同設備の特徴および外観イメージ
◆0.8MW×1~4モジュールでの水電解構成の変更が可能:
複数のモジュールから構成されているため、仮に運転中に1モジュールが故障した場合や、夜間を想定した低出力運転など、様々な環境における装置挙動を再現できます。これにより、機器設計や運用手法、制御技術の検証と改良に役立てることができます。

◆再生可能エネルギーの出力変動が再現できる装置設計:
太陽光や風力といった再生可能エネルギーは出力が不安定なため、水電解装置には高い変動応答性が求められています。本設備はこのような変動がシミュレートできる装置設計としているため、再生可能エネルギーとの連携や電力系統の調整力が検証可能です。

今後の予定 本設備は2022年10月下旬に起工式を終えました。今後、建設工事、機器設置および試運転を経て、2024年初頭の運転開始を目標としています。

旭化成、水素製造用アルカリ水電解パイロット試験設備を着工
水電解パイロット試験設備の位置づけ


旭化成、水素製造用アルカリ水電解パイロット試験設備を着工
水電解パイロット試験設備起工式
(グリーンソリューションプロジェクト長 植竹 伸子 氏)


※1 NEDO「グリーンイノベーション基金事業/再エネ等由来の電力を活用した水電解による水素製造/水電解装置の大型化技術等の開発、Power-to-X大規模実証/大規模アルカリ水電解水素製造システムの開発およびグリーンケミカルプラントの実証」
大規模水素製造システムを活用したグリーンケミカルプラント実証プロジェクトを開始
https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2021/ze210826.html
※2 NEDO「水素社会構築技術開発事業/水素エネルギーシステム技術開発/再エネ利用水素システムの事業モデル構築と大規模実証に係る技術開発」
※3 ※3 福島県・浪江町の「福島水素エネルギー研究フィールド」における 世界最大規模の水素供給運転開始について
https://www.asahi-kasei.com/jp/news/2020/ze200403.html
※4 ※4 モジュール:水電解槽本体と最低限の周辺機器からなる構成単位。製品では、顧客の要求出力に応じて10MW規模のモジュールを複数設置するとともに、モジュール範囲外の機器を共有化することでコストダウンを図る。

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