ENEOS、CO2フリー水素サプライチェーン構築へ豪州実証プラントの運転を開始

ENEOS、CO2フリー水素サプライチェーン構築へ豪州実証プラントの運転を開始

ENEOS株式会社(社長:齊藤 猛)は、独自に開発した低コスト型有機ハイドライド電解合成法※1(Direct MCH®※2 )を活用して、水素キャリアの一種であるメチルシクロヘキサン※3(以下、「MCH」)を製造する実証プラント※4を豪州クイーンズランド州ブリスベンに建設しました。実証プラントの開所式を1月30日(月)に行い、2月から運転開始します。

同社は再生可能エネルギー由来のMCH(グリーンMCH)の大量製造に向けて、Direct MCH®技術を活用した電解槽の大型化に取り組んでおり、同実証プラントの運転はその一環です。

今般、技術開発に成功した150kW級の中型電解槽(2021年の実証で用いた電解槽の約200倍)は面積3mの電極を積層したもので、工業的に使用されるサイズで最大に近い電極におけるMCH製造の効率化を実現しました。

実証プラントでは、太陽光発電に適した豪州クイーンズランド州において、中型電解槽と250kWの太陽光発電設備を組み合わせてグリーンMCHを製造します。2023年2月から9月までの約8カ月間の実証期間中に、製造効率最大化を目的として、亜熱帯環境下における電解槽の耐久性確認や太陽光の発電量変動に合わせてプラントの運転を調整した際の電解槽の最適な運転・制御技術の開発を行います。

また、実証期間中に燃料電池自動車(FCV)400~600台分の水素約2~3トン相当のMCHを製造して日本に輸送し、同社中央技術研究所の敷地内にて、MCHから水素を取り出す予定です。

同実証プラントにおける実証によって得られた知見を活用し、2025年度をめどに商用化の際に使用する5MW級の大型電解槽(同実証プラントで使用する中型電解槽の30倍以上)の開発を目指します。

同社は脱炭素に向けた本格的な水素の大量消費社会を見据えて、風況・日照等の気候条件が良好かつ国土が広く、グリーン水素の製造ポテンシャルの高い豪州において、安価で安定的なCO2フリー水素(グリーン水素)の製造技術開発に取り組みます。

※1 水素を貯蔵・運搬に適した有機ハイドライド(水素キャリア)の一種であるMCHに変換するには、水電解によって生成した水素をタンクに一度貯蔵し、トルエンと化学反応させる必要があるが、有機ハイドライド電解合成法は、再生可能エネルギー等の電気から水とトルエンを用いてMCHを一段階の反応で製造する手法。
※2 Direct MCH®は、ENEOS株式会社の登録商標。
※3 水素ガスの500分の1の容積で常温常圧の液体。貯蔵や輸送等、取り扱いが容易なことが特徴。
※4 同研究の一部は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金事業/大規模水素サプライチェーンの構築/革新的な液化、水素化、脱水素技術の開発/直接MCH電解合成技術開発の一環として行われました。

ENEOS、CO2フリー水素サプライチェーン構築へ豪州実証プラントの運転を開始

開所式の様子 (左から、小野 在ブリスベン総領事、ENEOS宮田副社長、クイーンズランド州政府 マイルズ副首相、 クイーンズランド州政府 デ ブレニ 水素大臣、NEDO 釘宮PM)

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プラント外観

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