【 北海道電力 】 Trimble XR10の外観
北海道電力株式会社とアバナード株式会社は、火力発電所におけるDX推進の一環として、Mixed Reality※1 (以下、MR)を活用した巡視点検業務用のアプリケーション(以下、巡視点検アプリ)を共同で開発し、国内で初めて火力発電所において使用を開始したと発表しました。
今後、同アプリのコンテンツ充実化を進めて発電所の巡視点検業務の更なる高度化を目指します。
この取り組みは、マイクロソフト社の最先端MRデバイス「Microsoft HoloLens 2」をベースとしたヘルメット一体型デバイス「Trimble XR10」で使用できるアプリを苫東厚真発電所の現場環境下において開発したものです。MR はスマートフォンに続く次世代のコンピューティングプラットフォームとして、今後、日常生活や産業分野全般において必要不可欠なものとなっていくことが予想されます。
北海道電力の火力発電所では、電力の安定供給に向けたトラブルの未然防止のため、定期的に設備の巡視点検を行っていますが、多岐にわたる設備の異常を早期に発見するためには、多くの経験とノウハウが必要となることから、巡視点検の技術を効率的に継承していくことが課題となっていました。
そこで、両社は、発電所員がこれまで職場内研修や実務により習得していた巡視点検に関する技術について、MR を活用して巡視ルートや点検内容を明確にすることで、業務の標準化・可視化ができる巡視点検アプリを開発しました。開発に際し、アプリの設計・開発およびプロジェクト管理の面でアクセンチュア株式会社の協力を受けました。
今回開発した巡視点検アプリは、マイクロソフト社のAzure Spatial Anchors※2 により空間認識を行うことで、GPS・ビーコン※3 などといったデバイス・インフラ環境を整えなくても、HoloLens 2 とクラウドサービスだけで約 2 km にわたる広範囲な巡視点検のナビゲーションを実現しました。HoloLens 2 内に表示された順路に沿って移動していくことで現在地に対応した作業指示や参考資料を自動的に HoloLens 2 に表示し、巡視点検をサポートします。
この巡視点検アプリを活用することで、効率的な技術継承に加えて、技術レベルの標準化により設備の異常兆候の早期検知が可能となり、発電所の安定運転に資するものと考えられています。
北海道電力は、道内企業で初めて経済産業省が定めるDX(デジタルトランスフォーメーション)認定制度に基づく「DX認定」を2022年2月に取得しており、今回の取り組みをDX推進の柱のひとつとして全社に展開を図っていきます。具体的には、主要な火力発電所に本巡視点検アプリを導入するとともに、MR の更なる現場業務への活用を進めていく予定です。また、苫東厚真発電所においては、昨年度から実地検証を行っているローカル5GとMRを組み合わせ、デジタル技術を活用した更なる業務変革を進めていきます。
アバナードでは、MRで働き方を根本的に変えることができると考えています。今後、5Gの普及により、分析・計算・画像表示などがクラウド側で処理されるようになり、MRデバイス自体は大幅な軽量化が進んでいくことが期待されます。アバナードは、これらの環境の変化とともに本アプリケーションの機能拡張やDigital Twin※4、AIといった先端技術を組み合わせたソリューションの開発を行い、MR領域に引き続き注力します。
今後、両社は、北海道電力の他の主要な火力発電所への本巡視点検アプリの導入に向け準備を進めるとともに、同様の課題を抱える他の発電事業者への展開を進めるなど、DXを通じて電力の安定供給へ貢献します。
~今回の巡視点検アプリの導入に関する日本マイクロソフト株式会社からのコメント~
日本マイクロソフトは、北海道電力様、アバナード様、アクセンチュア様による、Mixed Realityを活用した巡視点検アプリケーションの開発と苫東厚真発電所での使用開始を心から歓迎いたします。当社の HoloLens 2 や Microsoft Azure を活用した本取り組みにより、発電所の現場における技術継承とさらなる業務効率化が実現されるものと期待しております。引き続き当社では、3社と連携し、お客様のDX推進に貢献してまいります。
日本マイクロソフト株式会社
業務執行役員 インダストリアル&製造事業本部 製造営業統括本部長
横井 伸好
※1: Mixed Reality:MR、複合現実
ヘッドマウントディスプレイ等の専用の端末を用いることにより、実際に見ている光景(現実世界)に動画や、3次元コンピューターグラフィックス(以下、3DCG)などのデジタルコンテンツを重ねて表示するだけでなく、デジタルコンテンツを実際の手や音声で操作できる技術。
例えば、マニュアルや管理簿などを携行しなくても、データベースにアクセスし熟練者の操作方法を動画で確認し、現実の設備に操作手順を表示しながら、操作することが可能。また、容易に分解できない設備も3DCG上で分解し、内部構造を確認しながら点検方法を訓練するなどの使い方もできる。
※2: Azure Spatial Anchors
実世界のスケールに対応した空間アンカー情報をクラウド上で保持し、マルチユーザーで共有することで、物理空間の場所に応じた3Dコンテンツやデータを配置し、HoloLens 2 やスマートフォンなどのデバイスを通じて表示することができるクラウドサービス。
※3: ビーコン
極低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy(BLE)」を利用した新しい位置特定技術、またはその技術を利用したデバイス。
※4: Digital Twin
現実に存在する設備など3Dを用いて仮想空間上に再現し、設備に取り付けたIoTセンサーからクラウド上に収集したIoTデータをAIにより分析・処理し、仮想空間上の設備に即座に処理結果を反映することで現実の設備に発生する事象としてシミュレーションすることで予知保全を始めとした様々な対応へつなげることが可能となる。

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