川崎重工、世界初のピュアバッテリー電気推進タンカー向け大容量バッテリー推進システムを納入

世界初のピュアバッテリー電気推進タンカー

川崎重工は、旭タンカー株式会社が運用する世界初のピュアバッテリー電気推進タンカー※1 「あさひ」向けに、内航船用大容量バッテリー推進システムを納入したと発表しました。

同システムは、大容量リチウムイオンバッテリー、推進制御装置、電力管理装置などで構成され、動力および電力を主推進機や他機器へ効率よく供給します。バッテリーを使用するため、航行時に温室効果ガスを排出しません。また、システム全体の異常監視機能・保護機能を有しているためメンテナンス性が高く、高齢化が課題となっている内航海運業界において船員の労務負荷軽減に貢献します。さらに、発電機事業で培った電力系統に関する知見により、大規模自然災害時には緊急用電源※2 としても利用できるため、地域社会のBCP(事業継続計画)やLCP(生活継続計画)にも活用が期待されています。

地球温暖化の抑制に向けて国際海事機関(IMO)による二酸化炭素(CO2)や窒素化合物(NOx)などの排ガス規制強化が進む中、海運業界ではこれまで利用されてきた重油を燃料としたエンジンに代わるクリーンな動力源として、バッテリーを活用した電気推進システムに大きな期待と注目が集まっています。川崎重工が開発した大容量バッテリー推進システムは、運航時におけるCO2、NOxなどの排出量を大幅に削減し、環境負荷を低減します。

同社は、今後も船舶のシステムインテグレーターとして舶用機械販売だけでなくオペレーションに最適化したパッケージでのシステム供給など新しい価値の創造に取り組み、海事産業の労務負荷軽減および脱炭素社会の実現に貢献します。

大容量バッテリー推進システム(川崎重工所掌の主要構成機器搭載イメージ)
大容量バッテリー推進システム(川崎重工所掌の主要構成機器搭載イメージ)

【大容量バッテリー推進システムの主要仕様】
バッテリー : 1,740kWh/台 (合計3,480kWh/隻)
推進制御装置: 推進力制御、エネルギー/パワーフロー制御、操船オペレーション、システム監視
主推進機  : 川崎レックスペラ KST-115LF/AN-1.7 300kW x 2台 電動機駆動可変速制御

※1 船の基幹エネルギーシステムを完全に電化したゼロエミッション電気推進のタンカーをピュアバッテリー電気推進タンカーと称す。ゼロエミッション電気推進船の開発・普及促進を目指す株式会社e5(イーファイブ)ラボが企画・デザインし、東京湾内を運航する舶用燃料供給船として運用される予定。

※2 e5ラボ、旭タンカーからのアイデアによるもの。

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