大阪ガス、EVによる新サービス開発に向けた実証を大阪市内で開始

大阪ガス

大阪ガス株式会社(社長:藤原正隆)は、電気自動車(以下「EV」)による、①電気料金の削減、②カーシェアリング、③非常用電源活用(以下「BCP活用」)という3つのサービス(マルチユースサービス)の実現を目指し、大阪ガスが所有する実験集合住宅「NEXT21」にて実証を開始したことを発表しました。

なお、EVのカーシェアリングは大阪ガスの子会社である大阪ガスオートサービス株式会社(社長:湯川素哉)が行い、同実証を通じてカーシェアリングに関する新たな知見の蓄積を目指します。

日本では2050年のカーボンニュートラル実現に向け、家庭や産業など各部門でのCO2排出量削減が求められています。その中で全体排出量の20%弱を占める運輸部門の脱炭素化も求められており、電源の脱炭素化に合わせたEVの普及拡大が有効な手段と言われています。

また、近年、再生可能エネルギー(再エネ)の導入が進んだことで、デマンドレスポンス※1(DR)や蓄電池など※2 のリソースを束ねたバーチャルパワープラント※3(VPP)による調整力※4 が求められており、EVも”動く蓄電池”として同様の価値が期待されています。

しかし、現時点では一般的なガソリン車と比較するとEVは初期費用が高額になる傾向があり、コストが普及のハードルになることが想定されます。

また、車離れと言われるように、自動車を購入しない若者が増えてきたことで、日常生活におけるカーシェアリングの利用頻度は増加傾向にあります。

これらの潮流を踏まえて、大阪ガスはEVを用いた①ピークカットやDRによる電気料金の削減、②カーシェアリング、③BCP活用、という3つのマルチユースサービスの開発を目指します。電気料金の削減については、当社が定置型蓄電池向けに開発した、「電力需要」と「太陽光発電の発電量」をAIで予測する機能により、EVを用いたエネルギーマネジメント(エネマネ)を効率的に行うことで、お客さまの電気料金の削減を実現します。

さらに、エネマネを行わない時間にはカーシェアリングを行うことで、更なる収益獲得も行います。また、台風などの気象警報を基に事前に充電を行う機能により、停電時でもEVからの電力供給を可能とすることで、EVが保有するBCP価値の向上を目指します。これらのマルチユースサービスの開発により、EVのモビリティ用途としての活用に加えて、蓄電池用途として活用することによる更なる価値創出を目指します。

同実証では、EVを用いてエネマネを行いながら、NEXT21の入居者向けにカーシェアリングを行うことで、その実績データを取得し、ビジネスモデルの評価を行います。

実証後は、官公庁や社用車を所有する業務用のお客さま、集合住宅などへ本マルチユースサービスの導入を目指します。

Daigasグループは、これまでのコージェネレーションシステムや空調などのリソースにEVを加えたVPPを構築することで、更なる電力系統の安定化、およびEVと再エネ電気と組み合わせることによるお客さまのCO2排出量削減・省エネに貢献します。

※1 デマンドレスポンス(DR:Demand Response):電力の需給バランスを調整するため、お客さまが保有する設備の制御や蓄電池/EVからの放電により節電を行うこと。

※2 コージェネレーションシステム、エネファームを含む。

※3 バーチャルパワープラント(VPP:Virtual Power Plant):情報通信技術などにより、アグリゲーターと呼ばれる事業者が分散電源などを統合的に制御することで、あたかも一つの発電設備のように機能する仮想発電所のこと。

※4 調整力:一般送配電事業者が供給区域における周波数制御、需給バランス調整のために用いる発電設備、蓄電池、DRのこと。

1.EVを活用したマルチユースサービススキーム

EVを活用したマルチユースサービススキーム
EVを活用したマルチユースサービススキーム

2. VPP構築イメージ

VPP構築イメージ
VPP構築イメージ

3. 本実証で使用するEV

同実証で使用するEV
同実証で使用するEV

実験集合住宅「NEXT21」の概要

所在地 : 大阪市天王寺区清水谷6-16
最寄駅 : 大阪メトロ・谷町六丁目駅
規 模 : 地上6階、地下1階
建築面積: 896m
延床面積: 4,577m
住戸数 : 18戸

実験集合住宅「NEXT21」
実験集合住宅「NEXT21」

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