IHI、マレーシアで石炭火力発電のアンモニア混焼とカーボンフリーアンモニアのサプライチェーンを調査

マレーシア石炭火力発電

IHIは、マレーシア国営石油ガス会社Petroliam Nasional Bhd(以下ペトロナス)子会社のPETRONAS Gas & New Energy Sdn. Bhd.(*1)、マレーシア大手電力会社Tenaga Nasional Berhad(以下TNB)の子会社であるTNB Power Generation Sdn Bhd(以下TNB Genco(*2))と連携し、CO₂排出量削減を目指し,マレーシア国内の石炭火力発電所へのアンモニア混焼技術の適用検証および再生可能エネルギー由来のグリーンアンモニアや天然ガス由来のブルーアンモニア製造を含むサプライチェーン全体での技術・経済性評価を目的とする実施可能性調査事業を開始しました。本調査は2022年2月まで実施します。

本事業は、経済産業省の令和3年度「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国によるインフラの海外展開促進調査)」の採択により実施するものです。

アンモニアは、水素を高密度に含み、扱いやすいという優位性から、水素エネルギーの高効率かつ低コストな輸送・貯蔵手段(エネルギー・キャリア)となるほか、火力発電の燃料として直接使用することも可能です。既に肥料や化学製品の原料として広く利用されているため、製造・輸送・貯蔵までの一貫した技術がすでに確立しています。炭素を含まず、燃焼時にCO₂を排出しないことから,脱炭素化における有望な燃料と期待されています。

IHI は、アンモニアを燃料として利用する燃焼技術開発を推進しており、昨年度までに窒素酸化物(NOx)の生成抑制と安定燃焼を両立する石炭火力用アンモニア混焼バーナを開発するなど、混焼技術の高度化に取り組んできました。これらを活かし,国内商用石炭火力発電所において世界初となるアンモニア20%混焼実証の実施に向けた開発を進めるとともに、実証後の社会実装を見据え、アンモニアサプライチェーン構築に向けた活動も推進しています。

本事業では,マレーシアに多数の石炭火力用ボイラを納入しており、アンモニア燃焼技術開発で世界をリードするIHIと、世界有数のエネルギー製造事業者で、30年以上にわたりアンモニア生産の経験があるペトロナス、マレーシア総電力供給の53%を担う大手電力会社であるTNBの三社の強みを活かすことで調査・検討に取り組みます。

IHIは、本事業の他にも、中国電力株式会社と三井物産株式会社が、同じく経済産業省の令和3年度「質の高いエネルギーインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査事業費補助金(我が国によるインフラの海外展開促進調査)」の採択を受けて実施する、マレーシア国・超々臨界圧石炭火力発電所のアンモニア・バイオマス同時混焼プロジェクトの実現可能性並びに東南アジアへの展開可能性調査事業について、両社からの依頼にもとづき、技術的評価を行う予定です。

これら二つの調査事業を通じて、マレーシアにおけるアンモニアの多様な利用モデルを示すとともに、将来の需要増大へ対応する燃料アンモニアサプライチェーンの構築を進めることで、燃料アンモニア社会実装の早期実現と、質の高いインフラ提供によるグローバルな環境負荷の低減に貢献します。


<各社役割>

IHI
TNB社が保有する石炭火力発電へのアンモニア混焼技術適用の検討
子会社のIHI Power System Malaysia社による現地アンモニア製造工場・発電所の調査
アンモニアサプライチェーン全体(製造・輸送・利用)での技術・経済性評価の取りまとめ

PETRONAS Gas & New Energy
再生可能エネルギーや低炭素水素に関するマレーシアの政策調査協力
ブルーおよびグリーン水素/アンモニアの製造・輸送に関する情報提供および事業体制の検討の協力

TNB Genco
石炭火力発電所でのアンモニア混焼技術適用による影響・効果の調査
グリーンアンモニア製造プロセスへ適用するための,再生可能エネルギー供給力の調査

(*1) PETRONAS Gas & New Energy:ペトロナス傘下でクリーンエネルギー供給をはじめとした総合的なエネルギーソリューションを提供する事業者。
(*2) TNB Genco:マレーシアで発電所を保有・運営を担う事業者。

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