2050年の主力エネルギーは、「核融合」なのか「水素」なのか。

2050年の主力は核融合と水素だと予想。

(ここに書くことは、あくまでも筆者の個人的な意見です。)

これから述べることは、あくまでも個人的な希望的観測ですので、「そんなわけないだろ!」と反論される方もいらっしゃるでしょう。しかし、一定数の支持も得られるのではないかと思っています。

2022年現在、日本に限らず、世界の多くの国や地域ではエネルギー問題と食糧問題が深刻です。

40年前(私が小学生の頃)、石油はあと数十年で枯渇するから、それまでに新しいエネルギー源を探さないといけないと小学校の先生が教えてくれました。しかし、その後、新たな油田が開発され続けて、いまだに石油は枯渇していません。結局、石油などの化石燃料が枯渇するかどうかではなく、地球温暖化対策のために化石燃料を使わないようにしようと人々が考えるようになりました。私が小学生の頃には想像していなかったことが、今、起こっています。

(しかも、21世紀に、まさかの侵略戦争が起こるなんて!)

そんな現在の日本では、カーボンニュートラルに向けて次のようなことに取り組んでいます。

(分類はイメージです)
【発電】
 発電量<大>
 ・火力発電における水素/アンモニアの混焼/専焼
 ・火力発電における二酸化炭素の分離回収、埋設

 発電量<中>
 ・バイオマス発電
 ・太陽光発電(メガソーラー)
 ・陸上風力発電
 ・洋上風力発電
 ・大規模蓄電池の開発

 発電量<小>
 ・太陽光発電(工場や家屋の屋上など)
 ・地熱発電
 ・マイクロ水力発電
 ・潮流発電

【乗り物】
 ・自動車の電動化(BEV、燃料電池車など)
 ・航空機/船舶/鉄道でバイオ燃料を使用
 ・船舶の燃料として水素/アンモニアを使用
 ・船舶のEV化


これから、「発電」はどうなっていくのでしょうか?
上に挙げた中で、「発電」について考えていきます。

まず、火力発電への水素の利用についてです。火力発電の燃料として、水素が利用できれば、発電自体では二酸化炭素が発生しません。それはとても良いことなのですが、その燃料となる水素の製造時に二酸化炭素が発生(グレー水素)すれば意味がありません。そこで、二酸化炭素を発生させずに水素を製造しよう(グリーン水素)と考えるわけですが、その製造のためにはエネルギーが必要なので、そのエネルギー源をどうするのかという課題があります。太陽光や原子力を利用して水素を製造するくらいなら、太陽光や原子力を電力として使えば良いはずです。

結局、水素を使った火力発電が主力電源になるためには、低コストでグリーン水素を製造できるかどうかにかかっています。

次に、従来どおりに化石燃料を使った火力発電で二酸化炭素を分離回収する方法についてです。その方法には、コストがかかるだけではなく、いずれ化石燃料が枯渇するという昔がらの問題が残ります。ただし、一時的な(つなぎの)策としては、有効なのかしれません。

バイオマス発電は、自然界で二酸化炭素を吸収してくれる植物を燃料とするのだから、ライフサイクルを考えるとカーボンニュートラルだと言います。しかし、発電時に二酸化炭素を発生させるわけですから、水素による火力発電などに比べれば、地球温暖化対策としては弱い気がします。また、燃料の調達・運搬時に二酸化炭素を排出していることも気になります。 そして、何よりも発電容量が小さいので、電源の主力になることはないと思います。

太陽光発電は、夏場や天候の良い日には十分な電力を供給してくれます。従来のシリコン系の太陽電池だけではなく、「ペロブスカイト型太陽電池」の開発にも期待したいです。問題は、誰もが知っているとおり、冬場や雨の日です。 2~3日の悪天候であれば、大規模な蓄電池の開発でどうにかなるかもしれません。しかし、もっと長期的な悪天候には、どうすることもできません。万が一、富士山が爆発して、その火山灰が日本の上空を覆い隠す日が続いたら、太陽光パネルは何の役にも立ちません。

風力発電は、欧州では再エネの主力のようですし、最近では中国でも風力発電を増やしているようです。 国土の狭い日本では、風が吹く立地が少なく、陸上風力には限界があるので、洋上風力が注目されています。ただし、洋上風力には、浮体物などの何らかの構造物が必要です。日本の電力需要を賄うためには、大量のプロペラとそれを支える構造物が必要なわけです。その建設ラッシュを想像すると、昔の「箱もの行政」や「コンクリート行政」を思い起こして「本当に大丈夫なのかな?」と疑念を抱きます。田舎の立派な体育館や図書館も、その建設費だけではなく、莫大な維持費が必要です。建設業者にとっては好機ですが、日本国民にとっては電気代の負担増に繋がるかもしれません。

「地熱発電」と「マイクロ水力発電」は、地方創生としての意味合いは大きいかもしれませんし、純粋に応援したくなります。太陽光や風力のような変動がないのも良いところです。しかし、日本全体の主力電源となるには、容量が足りません。

潮流発電は、マイナー感があるので好きなのですが、洋上風力と同じような問題を抱えることになります。建設費と維持費の問題です。

アナロジーとしての「コンピューティング」の世界
私は、世の中の「集中」と「分散」のモデルを考えるときには、コンピューティングの歴史を振り返って参考にしています。

コンピューター(計算機)は、IBMや富士通が大型計算機(ホストコンピューター)を提供していた中央集約型の時代から始まって、その後、パソコンが登場して分散化していきます。今では、もっと、進んでスマホでいろんなことができるので、より分散化が進んだように見えます。

しかし、パソコンやスマホがインターネット越しに接続する先は、企業のビル内に設置された「大型コンピューター」から「サーバー」へと一時的に小型化・分散化されましたが、その後、大規模なデータセンターに集約されて、より集中化が進んでいます。つまり、パソコンやスマホなどへの分散化と、データセンターへの集中化が、同時に平行して進行しているわけです。

発電についても、工場や家庭などの太陽光パネルやエコファームなどによる発電の分散化が進んでいます。それと同時に、火力発電所からメガソーラーや風力発電所などへの分散化も進んでいますが、それは一過性のものであって、将来的にはもっと効率の良い大容量の発電所に集約されていくのではないでしょうか。

その中央側の候補は、「核融合」による発電なのではないかと私は考えています。

中央では「核融合」によって高効率で圧倒的な容量の発電所を運用しながら、各拠点(工場・ビル・家庭など)でも太陽光パネルなどで発電する。それが、2050年の日本の姿なのではないかと私は想像しています。

もちろん、核融合の実現には、いろんな壁があります。しかし、私が中学生の頃には、夢物語かSF小説の中の話であった核融合が、前進を続けているのも事実です。京都フュージョニアリングのようなベンチャー企業も頑張っています。
https://kyotofusioneering.com/

核融合が本当に成功するかどうかは、神様にしかわかりませんが、核融合が実現した際に無駄になってしまうようなことは今から避けておくべきなのかもしれません。

核融合が実現すれば、電気もグリーン水素も手に入る
その核融合が実現すれば、電気もグリーン水素も、十二分に手に入れることができます。
そして、2050年までに、乗り物の電動化が進んでいることは間違いありません。 その未来において、乗り物の動力が「電気」なのか「水素」なのかは現時点ではわかりませんが、その燃料を心配する必要はなくなっているはずです。

ただし、それまでに、核融合の商用利用が始まっていれば・・・の話ですが。
(2050年までには、無理かもしれません。)




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