
2050年のカーボンニュートラルに向けて、いろんな人達がいろんなところで頑張っていらっしゃいます。
その中でも、世の中が大きな期待を寄せているのが「水素」です。
「水素社会」の到来に、ポジティブなイメージを持つ方は多いのではないでしょうか。
私自身も、その一人です。
過去30年間、日本はエレクトロニクス産業で韓国や中国に敗れ、半導体では台湾や韓国に敗れ、スマホは当初から弱い状況で、負け癖がついてしまっている気がします。日本の携帯電話機は、日本国内でしか通用しないガラケー(ガラパゴス携帯)と呼ばれて揶揄されました。
日本は世界で通用しなくなってしまったのでしょうか?
しかし、任天堂スイッチやソニーのプレイステーションのように、今でも世界で通用する商品も存在します。
日本の水素技術は、任天堂スイッチのように世界にも通用する技術なのでしょうか?
そして、水素社会は、ガラケーのように日本独自の進化を遂げるのでしょうか。それとも、アメリカや中国も水素社会へと移行していくのでしょうか。
今、私が一番知りたいことは、「水素社会が日本だけで進化することになった場合であっても、水素のサプライチェーンは成立するのか?」ということです。
日本では、EVの開発や販売が海外の主要国に比べて、遅れています。ですので、EV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)に大きな差がついていない状況です。私の勝手なイメージでは、昔のビデオテープの規格に例えると、EVはVHS(松下電器)、FCVはベータマックス(ソニー)に似ている気がします。<例えが古くてスイマセン>
EVは、小さくて、FCVよりは安価に作れる。FCVは、大きくなってしまうし高価だけれど、性能が良い(長距離走行が可能)。
VHSが家庭に浸透し、ベータマックスがTV局などのプロの世界に浸透したように、EVとFCVも棲み分けが起こるかもしれません。
今、現在進行形でトヨタ自動車が、水素エンジン自動車を開発しています。この水素エンジン自動車が完成すれば、世の中が激変するかもしれません。CDやレーザーディスクの登場で、VHSもベータマックスも世の中から消えていったように、水素エンジン自動車の登場で、EVもFCVも消滅するかもしれません。
ところで、水素の活用は、自動車をはじめとするモビリティ(鉄道・船舶・航空機など)に限りません。水素は、私たちの生活を支える電力を生み出す燃料にもなります。日本の電力を支えているのは、火力発電です。太陽光発電が容量を増やしてきたものの、特に、原子力発電所の稼働していない東日本では、やはり、火力発電なしには私たちの生活は成り立ちません。
その火力発電所の燃料が、化石燃料(石炭や石油)から、水素に置き換われば、地球環境にとってポジティブな変化となります。
考えてみれば、火力発電所で水素やアンモニアを燃料として活用することは、水素エンジン自動車のモデルと似ています。燃料を水素に変えるけれども、従来からある仕組み・技術を活用するという意味で。
私は、火力発電所での水素の活用は、実験が進んで、どんどん実用化されていくと信じています。
そして、水素エンジン自動車も、必ず開発に成功して、世の中に普及していくと信じます。
問題は、(グリーン)水素の製造をどうするかです。
ここ数年で、国内での水素製造や、海外(オーストラリアなど)での水素製造、それから海外から日本への水素の運搬についてのニュースを目にするようになりました。それは、本当に喜ばしいことです。
今後、どのくらいのペースで、その水素製造のボリュームが増加していくのか。そして、日本の水素社会が成立するための水素のサプライチェーンが成立していくのかに注目したいと思います。
そして、エネルギー産業に関わる多くの方々に、エールをお送りしたいと思います。

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