3月の上旬、東北での地震の被害により、東北地方の火力発電所や燃料施設がしばらく操業を停止しました。首都圏では、地震直後の停電のみならず、3月22日には電力供給不足で東京電力などが利用者への節電のお願いをすることになりました。
今回の件は、東北での地震がきっかけではありますが、首都圏における冬季の天候不順時の電力不足は慢性的なものになっています。
そもそも、2011年の大震災で、東京電力の保有する原子力発電所の運営が停止したことが電力不足の根底にあるとは言え、あれからもう10年以上の時間が経っています。原発が稼働しない前提でのシナリオが必要であることは誰の目にも明らかです。
2016年の電力小売自由化の前後には、秋田県・茨城県・千葉県で、東京電力以外の電力会社・ガス会社・商社が「石炭火力発電所」を建設する計画がありました。「今さら、石炭?」と思わなくもないですが、やはり燃料としての石炭の「安さ」は事業者にとって魅力的だったのでしょう。
しかし、その石炭火力の計画に、環境省が反対しました。地球温暖化を食い止めようという世界の流れからすれば当然のことでしょう。それでなくても、海外から不名誉な「化石賞」を授与され続ける日本が、さらに二酸化炭素を排出することは受け入れがたいことでしょうし、近隣住民への悪影響も考慮したのだと思います。真っ当な判断であったことは推測できます。
違う視点で言えば、福島原発の後処理に追われる東京電力にとって、他電力やガス会社などが安価な石炭火力を武器に首都圏の電力小売市場で攻勢に出ることは大きな脅威でした。できることであれば、そのような状況は避けたいと考えたはずです。
結果的に、秋田県・茨城県・千葉県での石炭火力発電所の計画は撤回されました。環境対策費用がかさみ、発電事業が利益を生まないことが撤退の理由でした。
環境省としては、当然の主張をして、当然の結果に導いたわけです。
ただし、日本の首都・東京は、今年に限らず、来年の冬も「太陽光発電が役に立たない」天気が悪くて寒い日には、大停電の危機にさらされることになります。
もし、資源エネルギー庁と環境省が一体化して「環境エネルギー省」であったならば、「石炭火力の環境対策に国費を投入しよう」とか、「石炭火力の稼働は冬のエネルギー不足の時期に限定しよう」とか、違った方針が生まれていたかもしれません。あるいは、海洋風力発電が安定稼働するまでの繋ぎとして10年間限定の運用にしていたかもしれません。(民間事業者としては投資が回収できないので、国費を投入することになりますが。)
もちろん、「資源エネルギー庁」と「環境省」が別の組織であるメリットもあります。「司法」「立法」「行政」が三権分立によってそれぞれのバランスを保っているのと同様に、「資源エネルギー庁」がアクセルを踏みすぎても「環境省」がブレーキをかけることは大切です。
しかし、「環境」と「エネルギー」は切り離せないものですから、両者が一体化することで、多様な意見を融合しながら、かつ、意思決定のスピードアップをして、日本の国をリードしていただくことが望ましいのではないでしょうか。(これは、あくまでも、私の個人的な意見です)

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