ロシアのウクライナ侵攻で、改めてエネルギー政策の重要性を考えさせられました。

ロシアがウクライナに侵攻して、6日くらい経ちます。 ウクライナの人達はもちろんですが、無理やり戦わされているロシア兵にも同情します。 そして、早く戦いが終わることを祈ります。

さて、今回のウクライナ侵攻において、ロシアはアメリカを意識していたのは間違いないでしょうが、それでも侵攻に踏み切った背景には、ドイツが積極的にロシアの敵に回らないと予測したからではないでしょうか。

ドイツは、経済的にはEUの中心であり、軍事的にはNATOの中心ですので、ロシアがドイツを注視しないはずはありません。そのドイツは、風力発電などの再生可能エネルギーに注力し、昨年末に3基の原発を停止・閉鎖したことは記憶に新しいです。原発3基分の電力を失ったドイツにとって、最近の原油や天然ガスの価格高騰は大きな負担になっているはずです。

ロシアは、ロシア産の天然ガスに依存するドイツが、ウクライナ侵攻に反対の声を上げることはないと考えたのではないでしょうか。

それでも、ドイツは、ロシアからのパイプライン「ノルドストリーム2」の運用開始を承認しないことを発表しましたが、ウクライナに「ヘルメット5000個を贈る」との発表には世界中から非難を浴びました。その後、ウクライナのロシア軍への抵抗が世界からの賞賛となり、結局、ドイツはウクライナに武器を供与することになりました。

もし、ドイツが、再生可能エネルギーにより国内電力を100%賄えるようになるか、あるいは、ロシア以外の国から天然ガスなどの燃料(アンモニアや水素を含めて)を調達する仕組みを整えてから、原発を停止していたならば、ロシアの判断は違うものになっていたかもしれません。(もちろん、何も変わっていなかったかもしれません。)

いずれにしても、国のエネルギー政策とは、その国だけにとどまらず、他国の運命にも影響を与える可能性のある大切なものであることは間違いありません。日本国が、その瞬間の感情に流されることなく、世界を俯瞰した上で、戦略的にエネルギー政策を進めていくことを願います。



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