大林組、ニュージーランド港湾会社の水素ステーション事業パートナーに選定

オークランド

株式会社大林組(本社:東京都港区、社長:蓮輪賢治)は、ニュージーランド最大の輸入港を管理するオークランド港湾会社(Ports of Auckland Limited、以下 POAL)(本社:ニュージーランド・オークランド市、CEO:Tony Gibson)が実施する水素ステーション事業の事業パートナーに選定されたと発表しました。POALは、オークランド市が株式を100%保有する公共性の高い会社です。

2020年、ニュージーランド政府は、2030年までに再生可能エネルギーによる発電量を現在の約80%から100%に引き上げることを政策として掲げました。また、ニュージーランドのエネルギー・運輸部門における水素活用の戦略に関する提言書「A vision for Hydrogen in New Zealand」(※1)を発表するなど、水素の利活用を国として積極的に推進しています。

このような背景のもと、同国最大の商都オークランドの複数港湾とその関連施設を管理するPOALは、2040年までにゼロエミッション化(※2)することを表明しています。その一環として、市内繁華街近隣の所有地に水素ステーションおよびグリーン水素製造施設を整備し、保有する港湾車両を水素燃料車両に切り替えていくプロジェクトを計画し、その事業パートナーとして大林組が選定されました。

大林組は、2014年頃からニュージーランドの再生可能エネルギーの将来性に着目し、2018年には同国にて有数の地熱発電所を運営する「Tuaropaki Trust社」(※3)と共同で、同国内で初となるメガワット級の地熱発電由来のグリーン水素製造・供給施設の整備に着手、本年3月の竣工後、本格稼働に向けて運転を開始しました。この先進的な取り組みや、「地球・社会・人」のサステナビリティの実現を追求する長期ビジョン「Obayashi Sustainability Vision 2050」に掲げる脱炭素化の理念が評価され、今回の選定へとつながりました。

今後、POALと大林組は合弁会社を設立し、本事業を進めていくことで、港湾セクターと周辺のサプライチェーンにおける持続可能性の先導モデルとなることをめざします。また、ニュージーランドにおける水素の需要と供給の喚起に合わせて、製造、供給能力の拡充も視野に入れています。

大林組は2021年4月に「グリーンエネルギー本部」を新設し、カーボンニュートラルの実現に向けて、ニュージーランドにおける2つの水素プロジェクトに加え、日本国内でも大分の九重町において地熱発電を利用したグリーン水素を製造する実証プラントの稼働を2021年7月に予定しています。今後も大林グループのエネルギー供給能力、技術とノウハウを集約し、持続可能な社会の実現に貢献するエネルギー・ソリューションを提供していきます。

※1 A vision for Hydrogen in New Zealand
2019年9月にニュージーランド政府が発表した水素活用の戦略についての提言書

※2 ゼロエミッション化
CO2排出をゼロとすること

※3 Tuaropaki Trust社
ニュージーランドの先住民マオリの地権者をオーナーとする信託組織。同信託組織は、持続可能な資源利用を重視した国内有数規模の地熱発電所を開発し、2000年に開所以来、安定的に運転してきた。同発電所から得られた地熱電力、蒸気、排熱は、近隣の乳製品加工や温室栽培などのアグリビジネスにも活用されている



◆ オークランド港湾会社 会社概要 ◆
会社名 Ports of Auckland Limited
事業内容 港湾管理(コンテナターミナル・ばら積み貨物の管理、オークランド南部などに所在の貨物ハブの管理、クルーズ船施設の運営管理など)
設 立 1988年9月
資本金 116億円
従業員数 500人強
備 考 オークランド市(AUCKLAND COUNCIL)が100%の株式を保有するニュージーランド最大のコンテナ港を管理する会社

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